MC開発の経緯と沿革

マネジメント・コンパスは、複数の医療機関の看護部と協働し、試行錯誤を重ねながら開発されました。

背景と問題意識(2005~2014)

看護に誇りと喜びを

看護は、ひとが提供するサービスです。その質と持続可能性を高めるためには、看護を提供する「ひと」が、その仕事に誇りと喜びを持ち、心と体がすり減る毎日の中でもやりがいを感じることが欠かせないでしょう。私たちは、看護師が誇りと喜びを持って仕事に臨めるよう、学習支援やマネジメント支援の立場からお手伝いしてきました。

働きやすい職場づくりのキーを握る、師長のマネジメント

2012年には、看護師のための職務満足度調査を開発し、様々な医療機関で調査を実施しました。そのフィードバックを行う中で、働きやすい職場をつくるには師長のマネジメントがキーになるという確信に至りました。職務満足度調査でご縁のあった、日本赤十字社医療センター・三重大学医学部附属病院などと協働し、院内で看護管理者が学び合うためにどんな取り組み・仕組みが必要なのか、試行錯誤が始まりました。

文部科学省委託事業での取り組み(2015~2017)

日本赤十字社医療センターが代表機関として取り組んだ文部科学省委託事業にて、PDPの開発、看護管理者の継続学習指針の策定に取り組み、全国への普及活動を行いました。都道府県看護協会等で、PDPを管理者研修に導入していただくことも増え、全国に学びの仲間が増えていきました。

院内の管理者の学習をファシリテートする(CNML)

院内で管理者を育成し、院内で管理者が学び続けるためのプログラムや仕組みの開発に取り組みました。院内で管理者の育成・能力開発に携わる「臨床看護マネジメントリーダー(CNML))」の養成プログラムを開発し、実証講座を実施しました。

院内で看護管理者が学び合うためのフレームワーク(PDP)

大勢のスタッフが連携し、高度で煩雑な業務をこなさなければならない看護現場での問題解決のために、「困りごと」を解きほぐし、解決策を導いて、すぐに取り組める具体的なアクションプランに落としこむまでの過程を支援する「PDP」を開発しました。

全国での研修会の実施

全国でPDPセミナーおよびCNML養成講座を開始しました。

普及冊子の配布

本プロジェクトについて知ってもらうための冊子を配布しました。

シンポジウム

本プロジェクトの成果を発信するシンポジウムを開催しました。

マネジメント・コンパスの開発と、活用のための試行錯誤(2018~2021)

マネジメント・コンパス(MC)を開発

文部科学省委託事業が終了して以降は、弊社を中心とした有志の活動として、PDPはもとより、マネジメント・コンパスの開発と普及に取り組んできました。
持続可能な看護組織を考える研究会(PDP研究会)を立ち上げ、全国各地で管理者向けセミナーを展開しました。

MCチャートのWEBアプリ化に着手

三重大学医学部附属病院をはじめとした数施設にて、WEBアプリによる実証実験を開始しました。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴ってセミナーのオンライン化・オンデマンド化が進み、現在の「MCラーニング」の開発へとつながっていきました。

新しい看護管理の支援サービスへ(2021~)

PDPは単独でも、師長や主任が自律的かつ協働的に問題解決に取り組む組織づくりに活用できます。しかし数年の試行錯誤のなかで、マネジメント・コンパスを管理の基軸に据え、部署の課題の全体像を可視化して共有し、問題解決型と目標達成型のバランスを考えながらアプローチすることで、より成果が出るということを実感しています。
マネジメント・コンパスを活用していただくことにより、看護部長と師長、師長と副師長・スタッフなど、組織の様々なところで対話や学び合いが促進されること、それによって「学習する看護組織」へと組織を変容させていけることを願っております。

協働学習会での学び

月1回、MCを導入している施設の有志がZoomミーティングに参加し、各施設の進捗状況や困りごとを共有し、互いの知見を交換しています。またロールプレイやその振り返りを通じて、PDPやMCのファシリテーションのブラッシュアップを行っています。

「MC看護管理」として法人サービス化

2021年より、MCチャート・MCラーニング・MCサーベイを「MC看護管理」として統合し、マネジメント・コンパスによる看護管理実践を円滑に進めるためのクラウド型サービスとして、法人向けにリリースしました。

「MCラーニング個人版」サービス開始

2022年4月、マネジメント・コンパスについて学びたい個人、および、法人としての導入が難しいという施設向けに、「MCラーニング個人版」をリリースしました。